「もう限界だわ…」数年前、私たち家族は先祖代々のお墓の「墓じまい」を決意しました。その過程で、予想もしなかった困難に直面し、多くの教訓を得ました。
特に、役所での墓じまいの手続きは想像以上に複雑で時間がかかるものでした。この体験を通じて学んだことを、これから墓じまいを考えている方々に共有したいと思います。
墓じまいを決意した理由 :「もう限界」と感じて親族会議
私たちが墓じまいを決意したのには、いくつかの理由がありました。
– 管理の困難さ:広大な敷地の手入れが高齢の母には負担になっていました
– アクセスの悪さ:遠方にあり、定期的な訪問が困難でした
– 後継者の不在:将来的に墓守りをする人がいないという不安がありました
– 不動産売却の懸念:敷地内にあるお墓は、将来、実家を売却する際の障害になる可能性がありました
これらの理由から「もう限界だ」と感じ、親族会議で墓じまいを決定しました。しかし、この決断が長い旅の始まりに過ぎないことは、その時点では想像もしていませんでした。
墓じまいの過程で直面した5つのトラブル
①頑固な父親の説得:墓じまいに強く反対する父親を説得するのに苦労
②身元不明の遺骨の存在:身元が特定できない遺骨が含まれており、役所の許可を得るのが困難
③複雑な役所の手続き:複数の部署との交渉や膨大な書類作業が必要で、2ヶ月以上
④予想外の高額な費用:墓じまいの総費用が約300万円にのぼり、当初の想定を大きく上回った
⑤新しい永代供養墓の選定:親族の同意を得るのに時間がかかった
墓じまいの役所手続きで直面した3つの予想外のトラブル
墓じまいの過程で最も難航したのが、役所での手続きでした。ここで私たちが直面した3つの主な困難は予想していないものでした。
1. 身元不明の遺骨の存在
– 問題点:戦前からの古いお墓には、身元が特定できない遺骨が含まれていました
– 役所の対応:「お墓に入っている人物が特定できないと許可が出せない」と言われました
– 私たちの葛藤:戦時中の混乱など、過去の詳細を知ることは不可能でした
2. 膨大な書類作業と確認作業
– 必要書類:戸籍謄本、墓地の権利書、遺骨の移動に関する同意書など、多岐にわたる書類が必要でした
– 時間のかかる確認:各書類の内容確認に予想以上の時間がかかりました
3. 役所間の連携不足
– 複数の部署との交渉:墓地管理課、戸籍課など、複数の部署との連絡が必要でした
– 情報の不一致:部署によって提供される情報に齟齬があり、混乱しました
これらの困難により、役所での手続きだけで2ヶ月以上もの時間を要しました。「早く済ませたい」という焦りと、「正しく手続きを行いたい」という思いの間で、常にジレンマを感じていました。
墓じまい全体の流れとかかった時間と費用
墓じまいの全プロセスは、想像以上に長く、複雑なものでした。
総所要時間 約1年
1. 親族会議での決定:約1週間
2. 新しい永代供養墓の選定:約1ヶ月(下見や比較検討含む)
3. 石材店やお寺への連絡:約2週間
4. 役所での手続き:約2ヶ月
5. 新しい墓の購入契約:約2週間
6. 魂抜き、古い墓の撤去、遺骨の移動:約1週間
墓じまい費用 約300万円
– 墓石撤去:100万円
– 魂抜きその他:20万円
– 交通費等:5万円
– 行政手続きに関する費用:12,000円
– 骨壷その他:20万円
– 新しい永代供養墓:150万円
この金額を見て、「えっ、こんなにかかるの?」と驚かれる方も多いかもしれません。私たちも最初は想定外でした。しかし、先祖への敬意と、将来の負担軽減を考えると、必要な投資だったと感じています。
墓じまいで学んだ3つの重要な教訓
1. 早めの計画立案が鍵
– 理由:予想外の障害や遅延に対応する時間的余裕が必要
– アドバイス:墓じまいを考え始めたら、すぐに情報収集と計画立案を始めましょう
2. 親族全員の合意形成が重要
– 体験:頑固な父親の説得に苦労しました
– 解決策:孫を引き合いに出し、将来の負担や実際的な問題点を具体的に説明。時間をかけて理解を得ました
3. 専門家のアドバイスを積極的に求める
– メリット:複雑な手続きや法的問題の解決に役立ちます
– 注意点:複数の専門家に相談し、情報を比較検討することが大切です
実は…もうひとつ わたしたちの墓じまいにはトラブルがありました。霊園(東京都町田市)でお墓の建立に高額な値段をふっかけられたのです。さすがに頭にきて
そちらとの契約はなかったことにします!
…と言ったら、慌てて責任者が値段を下げてきました。
お墓の値段は本当に注意が必要です。石材店次第でも結果が大きく変わりますし、お値段があってないようなものですから、相手の言いなりにばかりなっていると大損をします。
そういう事態を避けるためには、新しいお墓探しや墓の建立には時間に余裕をもって比較することをおすすめします。いくつか候補があれば、心理的にも余裕を持つことができます。
墓じまい後の変化:予想外の親族の反応に大満足
墓じまいのプロセスは長く、時に疲れ果てることもありましたが、完了後の親族の反応は私たちの予想を超えるものでした。
– 当初、墓じまいにいちばん反対していた父が、新しい永代供養墓を一番気に入ってくれました
– 親戚からは、アクセスの良さと新しい墓の美しさを褒められました
– 親族全員が、将来の管理の負担が軽減されたことに安堵しています
また、予想外の良い変化もありました。新しい墓参りが、家族や親戚が集まる良い機会となり、家族の絆が以前よりも強くなったように感じます。
それにしても、墓じまいするのに行政手続きがいちばん難航するとは思っていませんでした。戦前からある古いお墓や田舎の墓じまいは思いもかけぬトラブルが噴出することがあるので、注意が必要かもしれません。
墓じまいは、確かに時間と労力、そして相当の費用がかかります。特に【墓じまいの役所手続き】は、私たちが経験したように、予想外の困難に直面する可能性があります。
しかし、この経験を経て、私は墓じまいを「将来への投資」だと考えるようになりました。それは単に金銭的な意味ではなく、親族の絆を強め、将来世代の負担を軽減するという意味での投資です。
墓じまいは先祖への敬意を新たな形で表現する機会でもあります。私たちの場合、新しい永代供養墓は、先祖を敬う気持ちと現代的な実践性のバランスを取る良い解決策となりました。
墓じまいを考えている方々が、この体験談を通じて少しでも参考になる情報を得られ、スムーズなプロセスを経験できることを願っています。